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帯下(おりもの)異常

婦人科を受診されるきっかけで月経不順や不正出血と並んで多いのがおりものが気になるという訴えです。
帯下は膣や子宮の出口で作られる分泌物が混ざったもので、膣内に潤いや清潔を保つ働きを持っており、また排卵期には精子の侵入を助け妊娠しやすくする役割を持っています。膣内には大腸菌やカンジダ菌などの雑菌が増えないように働いてくれる善玉菌がいて、膣内の菌のバランスを保つようになっています。
この善玉菌が減ったり、いなくなったりすると膣内の抵抗力が落ち、感染などの病気を起こしやすくなります。
帯下の量は個人差があり、生理のサイクルや体調、ストレスなどによって変化するので、単純に多い、増えたというだけでは異常とは言えません。
しかし、明らかに普段より増えたり、においが強かったり、かゆみを伴う場合は、膣炎や性病の可能性がありますので一度受診され検査を受けられることをお勧めします。帯下異常は様々な病気が原因で起こります。

外陰膣カンジ症、カンジダ性膣炎

膣内に棲んでいるカンジダ菌という真菌(カビの一種)が異常に増殖して起こります。
チーズや酒粕の様なポロポロした帯下が出るのが特徴です。多くは外陰部や膣内に強いかゆみを伴います。
過労や妊娠中など免疫力が落ちた時になりやすい傾向にあります。また風邪や膀胱炎などで抗生物質を内服した後にもよく起こります。抗生物質で膣内のカンジダ菌以外の菌が死んでしまうためです。
治療は膣洗浄+抗真菌薬の膣錠と軟膏やクリームで比較的早く治りますが、体の抵抗力が落ちると何度でも再発しますので体調を整えることが予防になります。

細菌性膣症

カンジダ膣炎と同様に膣内の善玉菌が減り様々な悪玉菌が異常増殖して起こります。
黄緑色っぽいおりものが続き、鼻につくような腐敗臭がするのが特徴です。
診断は帯下の細菌検査を行い菌を特定した上で、内服もしくは数回の膣洗浄+膣錠で治療します。

月経困難症

月経困難症とは、月経時に強い痛みを感じたりするだけでなく、頭痛や下痢等の身体症状やイライラ感、憂うつ感などの精神症状を併せて感じる場合もあります。平成12年の厚生労働省班研究”リプロダクティブ・ヘルスからみた子宮内膜症等の予防診断治療に関する研究”によると、月経時に何も症状の無い方は21%にとどまり、痛みがあっても生活に支障の無い方は46%、生活に支障が出て困っている方は33%に及ぶことが報告されています。
月経周期を見てみると、図のように月経中は月経痛や身体症状・精神症状が出やすく、なかなか本調子というわけにはいかないことがありますが、女性ホルモンのうちエストロゲンが増加する卵胞期では、気分も安定し良好に自身のパフォーマンスを出すことが出来る様になります。排卵期では時に排卵痛などの痛みを伴うことがありますが、大体OKです。月経の前になると、排卵後に分泌されるプロゲステロンの影響を受けて身体がむくみやすくなり、先ほどの頭痛・吐き気などの身体症状やイライラや憂うつ感等の精神症状が出やすくなります。
この様な症状が増強してきた場合を、月経困難症と言います。
月経困難症には2つのタイプがあります。

機能性月経困難症

子宮や卵巣には異常は無いが月経に伴う痛みなど諸症状がある場合
徐々に症状が進行し将来子宮内膜症などが起こる可能性は症状が無い人の2倍に及ぶことが報告されています。

器質的月経困難症

子宮内膜症
子宮内膜が本来あるべき子宮腔内から子宮の表面や卵巣、腹膜、場合によっては腸や肺などまで移動している場合もあります。月経困難症・性交痛・排便痛などの症状の他、腹腔内に月経様の出血が起こるため、腹腔内癒着が起こったり、卵巣にできた子宮内膜症はチョコレート囊腫と言われ将来の不妊症の原因になるだけでなく卵巣ガンの発生率が上昇します。
子宮腺筋症
子宮内膜組織が子宮筋層内に侵潤したために子宮は膨張し硬くなります。
子宮筋腫
子宮に出来たこぶ。ほとんどは良性で場所と大きさで症状の出方には差があります。月経量が増えたり月経痛が強くなったりします。

月経困難症とつきあう

【ストレス発散】
  • 運動・ヨガ・ウォーキングなど
  • アロマセラピー
  • 半身浴
【栄養摂取】
  • カフェインの摂取制限
  • 鉄分・カルシウム摂取
カウンセリング
病気について理解を勧め、個人にあった対処法を考えましょう。
理解が進むことで不安が軽減するようにサポートします。
鎮痛剤
疼痛や腹痛に使用します。痛み物質を作らないように飲み方を考えましょう。
抗不安薬
イライラ、憂うつ、不眠、不安感など精神症状が強い場合に使用します。
その他の薬
漢方薬・利尿剤・ビタミン剤なども使用します。
ホルモン療法
  • 低用量エストロゲン・プロゲスチン製剤(LEP)療法(ピル)
    排卵を抑制する経口避妊剤ですが、排卵を抑制することで分泌される月経量は減少し月経困難症の改善が期待されます。また、月経が一定してきてプランを立てやすくなります。
    一方、年齢の増加や偏頭痛等の合併症や喫煙者など、静脈血栓症のリスクが指摘されており注意が必要です。
    このLEP製剤を長期に服用することで、月経回数を少なくする方法があります。この方法には、子宮内膜症になるリスクを避ける可能性が示されています。当院でも内膜症の術後再発予防として、また月経困難症の方にもお勧めしています。

  • 黄体ホルモン療法
    長期に黄体ホルモンを投与することで、子宮内膜が薄くなってきます。結果的に月経量が落ちて月経困難症が改善されます。ピルのような血栓症リスクはとても低いですが、少量の不正出血が起こりやすく月経不順となります。また、時に自身のホルモン分泌が低下する場合が有り更年期障害のような症状が出る場合があります。合併症や喫煙者、年齢が高い人、子宮内膜症手術術後におけるFIRST CHOICEになります。

  • IUS(子宮内黄体ホルモン放出システム)
    子宮内にとどめて使用する器具で病院で挿入します。器具からは黄体ホルモン(レボノルゲストレル)が徐々に放出されこれが子宮内膜を薄くし、月経困難症や過多月経を改善します。約5年そのままで使用でき全身には薬が広がらないため、自身のホルモン分泌を妨げにくいところがメリットです。しかし、筋腫があったり子宮変形が強い場合や出産経験がない方には使用できないことがあります。

  • GnRHアゴニスト(偽閉経療法)
    完全に女性ホルモンの分泌を止めてしまって月経を止める方法です。長期使用で骨密度が減少したり更年期症状に悩まされたりと問題もあります。

卵巣腫瘍(内膜症)
更年期障害

今までに感じなかった体の不調はありませんか?それは、更年期障害かもしれません。
閉経前後の5年間を更年期と呼びます。この期間に現れる多種多様な症状の中で、他の病気が原因ではない症状が更年期症状です。これらの症状のために、日常生活に支障をきたす状態を更年期障害と呼びます。

症状

更年期障害の症状として、ほてり(ホットフラッシュ)が多いように思われていますが、日本人で最も多い症状は肩こりです。他に、のぼせ、疲れやすい、腰痛、不眠、頭痛、イライラ、抑うつ気分などがあります。ただし、これらの症状があるからといって、必ずしも更年期障害でない場合もあります。そこで、他の疾患との鑑別も必要です。

検査

簡略更年期指数(SMI)
更年期障害を症状別に点数化して、症状の有無や程度を把握します。
血液検査
女性ホルモンの値や体の健康状態をチェックします。
日本版SDS(心理テスト)
抑うつ気分が強い方などに行います。

子宮がん検診、乳がん検診、骨密度検査、抗酸化力検査など

治療

ホルモン補充療法
内服薬や貼付薬で、不足した女性ホルモンを補充します。
漢方薬
患者様に適した漢方薬をお選びします。
サプリメント
更年期障害に有効なサプリメントの他、抗酸化力増強やその他諸症状の予防や改善に役立つサプリメントもご相談させていただきます。当院には、医療用サプリメントもご用意しております。

食事療法、運動療法などもあります。

避妊相談

妊娠したものの事情があってどうしても産むことができない、そんな場合には人工妊娠中絶が必要となります。しかし人工妊娠中絶は、体にも心にも大きな負担を与えることになるため、望まない妊娠を防ぐためにしっかりと避妊をすることがとても大切です。まだ結婚や妊娠を考えていない10代、20代の方だけでなく、出産後で生理が再開していない方や生理のある40代以上の方も同じように避妊を考える必要があります。
避妊にはさまざまな方法がありますが、年齢や現在の生活環境、今後のライフプランなどを考慮し、自分にあった避妊法を選びましょう。

避妊方法

コンドーム
性交時に男性器にかぶせることで、精子が膣内へ侵入することを防ぐ方法です。薬局やコンビニなどで手軽に入手でき、性感染症の予防も可能ですが装着ミスや破損などによる失敗率も高い方法です。
(使用期間1年間での失敗率;理想的な使用で2%、一般的な使用で18%)
低用量ピル
1日1錠内服し、排卵を抑制することで高い避妊効果が期待できます。月経周期が規則的になり、月経痛が軽減することもメリットです。一方、飲み始め時の嘔気や不正出血、血栓ができやすいなどのデメリットもあります。また、高度の肥満やヘビースモーカーの方など、内服をお勧めできない場合もありますのでご希望の方は一度ご相談ください。ピルを内服される方は副作用チェックのため年に一度の子宮頸がん検診、乳がん検診、採血を推奨しています。
(使用期間1年間での失敗率;理想的な使用で0.3%、一般的な使用で9%)
IUD(子宮内避妊具)
子宮内に小さな器具を挿入することで避妊効果を得られます。一度挿入すると2-5年間交換不要で、授乳中でも使用できます。ピルのような飲み忘れがないのも大きなメリットのひとつです。デメリットとしては時に生理の量が増えることがあり、挿入後数ヶ月は不正出血が見られたり、子宮内感染が生じることがあります。
(使用期間1年間での失敗率;理想的な使用で0.6%、一般的な使用で0.8%)
IUS(子宮内システム)
子宮内に小さな器具を挿入し、一度挿入すると5年間交換不要です。高い避妊効果の他、器具から放出される黄体ホルモンの効果で月経量の減少や月経困難症の軽減も期待できます。ピルのような飲み忘れがないのもメリットですが、挿入後数ヶ月は不正出血が見られたり、子宮内感染が生じることがあります。
(使用期間1年間での失敗率;理想的な使用で0.2%、一般的な使用で0.2%)
緊急避妊(アフターピル)
避妊せずに性交渉してしまった、コンドームが破れてしまった、など予期せぬ妊娠を避けたい時に72時間(3日)以内に内服することで、妊娠を出来るだけ回避する方法です。
  • 効果
    緊急避妊薬には、排卵を遅らせる働きと着床を阻害する働きがあると考えられています。避妊効果は100%という訳ではなく、服用しても少ないですが妊娠する場合があります。

  • 副作用
    不正出血、腹痛、頭痛、全身倦怠感、眠くなる等、またごく軽度の気分不良といった症状が現れる事があります。

  • 費用

    診療時間内10,000円
    診療時間外13,000円
  • 注意
    服用することで、排卵を遅らせることがあるので、緊急避妊服用後に妊娠しやすい時期が移動する事になります。この為生理が来て妊娠しなかった事が分かるまで確実な避妊が必要です。
    また、予定された生理より1週間以上遅れる場合は、受診をお薦めします。
    避妊なしでの性交は、妊娠の可能性は高くなります。望まない妊娠をしないため、確実な避妊をお薦めします。お気軽にご相談ください。

当院では緊急避妊後に低用量ピルを続ける事をお薦めしています。
避妊手術
女性では卵管を、男性では精管を結んだり切ったりして、卵子、精子の通路を遮断する方法です。避妊効果は非常に高いですがそれでも100%ではなく、また術後に妊娠を望むことがあっても自然妊娠を期待することが難しくなります。
(使用期間1年間での失敗率;理想的な使用で女性0.5%、男性0.10%、一般的な使用で女性0.5%、男性0.15%)

その他、基礎体温表などから排卵日周辺の性交を避ける、膣外射精をするなどの避妊方法は非常に失敗する可能性の高い方法ですので避けましょう。

※これらは避妊を目的とした治療法です。コンドーム以外の方法は性感染症の予防にはなりません。

性感染症

帯下の異常は膣内の常在菌だけではなく、性感染症が原因で起こることもあります。
性感染症にも数多くの種類があり、症状や治療法、感染経路が異なります。
中には無症状のものもあります。

性器クラミジア感染症

クラミジアという細菌が原因で起こる日本で最も多い性感染症です。
主に性交渉やオーラルセックスによって、子宮頚管や骨盤内、咽頭に感染します。
症状は、黄色い帯下が少量出る程度か無症状のことが多いので、感染に気づかない場合も多くあります。進行すると下腹痛や発熱することもあります。
クラミジア感染症を無治療で放置すると、卵管に障害を起こし卵管性不妊症の原因になったり、卵管妊娠(子宮外妊娠)の原因になることがあります。
また妊娠中は産道感染により新生児の肺炎や結膜炎を引き起こします。
診断は、現在の感染状況については子宮頚管から直接細胞を取る抗原検査を、過去の感染状況を知るには血液で抗体検査を行って診断します。
治療はクラミジアに有効な抗生物質の内服で通常除菌できますが、セクシャルパートナーが無治療の場合、性行為によって再感染しますのでパートナーとの同時治療が必要です。
クラミジアは、自覚症状に乏しく感染に気づきにくい性感染症ですので予防が重要です。
コンドームの適切な使用は有効な予防法です。ただし、オーラルセックスの時も使用する必要があります。

淋菌感染症

淋菌を原因菌とする性感染症です。クラミジアと同様にあらゆる性行為で感染します。
症状は男性では尿道炎の症状が強く出ますが、女性では症状が無いか軽いことがほとんどです。クラミジア同様、オーラルセックスによって咽頭にも感染します。
淋病も不妊の原因になったり、産道感染により新生児結膜炎を引き起こす可能性があります。
診断はクラミジアと同様に子宮頚管分泌物を採取して行います。クラミジアと同時検査が出来ますので、当院では帯下異常で来られた方には一般細菌検査とクラミジア、淋菌同時検査をするようにしています。
治療は抗生物質の点滴で行います。コンドームの適切な使用が有効な予防法です。

膣トリコモナス症

トリコモナスは性行為を介してトリコモナス原虫に感染することで発症します。
症状がある場合は、帯下の悪臭、泡状の帯下が出るなどが多いですが、自覚症状が無い場合も多くあります。診断は膣分泌物の培養検査によって行います。
治療は洗浄+膣錠を数回行い、同時に抗菌薬の服用で行い、パートナーも内服薬の服用で同時に治療します。
トリコモナス膣症もコンドームの使用で予防可能です。

性器ヘルペス

性器ヘルペスは主に性行為によって、ヘルペスウィルスに感染することによって発症します。
性器ヘルペスの症状としては、性器周辺に見られる水ぶくれや潰瘍などが典型的な症状です。
熱が出たり、足の付け根のリンパ節が腫れることもあります。ひどい時は痛みのため排尿も困難になるほどの痛みを伴います。
初めて感染してからすぐに症状が出る場合もありますが、感染してもしばらく症状が出ない場合もあります。診断は病変部から直接細胞を取って、ヘルペスウィルスの抗原を検出します。
治療は通常、抗ウィルス薬の経口薬と軟膏が処方されます。重症化したときは抗ウィルス薬の点滴が必要なこともあります。
ヘルペスの特徴として再発を繰り返すという点があります。抗ウィルス薬は症状を早く和らげてくれる効果はありますが、ウィルスを死滅させることは出来ないからです。
病変が消失した後は、ヘルペスウィルスは神経に潜伏し、体が弱っている時や精神的なストレスがあるとウィルスが活性化されて再発すると考えられています。
ただ再発の時は、初めて症状が出たときに比べて軽症のことがほとんどです。
また妊娠中に性器ヘルペスを発症した時も注意が必要です。妊娠の時期により対応はことなりますが、出産直前に性器周辺に病変を認める場合は、産道感染による新生児ヘルペスを発症する可能性があるためです。新生児ヘルペス感染症は死亡率が高く、神経学的後遺症を残す恐れのある病気です。
そのため帝王切開術が必要になることがあります。

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマも性感染症の一つで、性器や肛門周辺にとさかの様なとか、カリフラワー状のとか表される特徴的なイボが出来ます。
痛みやかゆみなどの自覚症状はあまりありません。
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウィルス(HPV)というウィルスを病原体としています。
ヒトパピローマウィルスには多くの種類があり、良性のものはコンジローマに、悪性のものは子宮頸がんの原因にもなります。診断は肉眼的に比較的容易につきます。
治療は、ベセルナクリームという塗り薬による薬物療法と電気メスでイボを切り取る手術療法があります。

梅毒

主に性行為によって梅毒トレポネーマという病原体に感染することによって発症します。
梅毒は比較的まれな疾患となっていましたが、近年世界的に感染者が増えており、日本でも若い女性を中心に感染者が急増しており、一般の人たちの普通の性的活動の中で感染する性感染症となっています。
初期症状としては性器に硬いしこりが出来たり、足の付け根のリンパ節が腫れたり、体に発疹がたくさん出たりなどがありますが、自分では気づかない程度のこともあります。
感染に気づかずに治療しないままでいると徐々に進行していきます。
また梅毒に感染したまま妊娠すると、胎盤を通じて病原体が胎児に移ってしまい、梅毒を持った赤ちゃんが産まれてくる恐れがあります。これを先天性梅毒と呼びます。
病原体は皮膚や粘膜の小さな傷から侵入するため、コンドームである程度予防できますが完全ではありません。
梅毒の確定診断は血液検査で抗体を検出することによって行います。
治療はペニシリンを数週間内服することにより完治させる事ができます。

HIV 感染症(エイズ)

HIV(ヒト免疫不全ウィルス)とは、ヒトの体を様々な細菌やウィルスなどの病原体から守る免疫細胞に感染するウィルスのことです。HIV が免疫をつかさどる細胞に感染すると、これらの細胞の中でHIV が増殖して免疫機能が働かなくなり、普段は感染しない病原体にも感染しやすくなって、様々な病気を発症します。
この病気の状態をエイズ(後天性免疫不全症候群)といいます。
HIV に感染すると、HIV は精液、膣分泌液、血液、母乳などに多く含まれるようになるため、感染は性行為による感染、針刺し事故や輸血などの血液を介した感染、母子感染に分けられます。
日本で1980 年代に、HIV 感染者の血液から作られた血液製剤を使用したことによる多数のHIV 感染者を生み出した薬害エイズ事件がおきましたが、現在は性行為による感染が最も多いとされています。
診断は血液で抗体検査を行いますが、感染機会があってからHIV が陽性に出るまでには約1ヶ月かかります。
治療法は抗HIV 薬を服用することによって行います。エイズはかつては死の病と呼ばれたこともある病気ですが、現在は薬が劇的に進歩しており、エイズ発症前から薬を長期服用し続けることにより、非感染者と変わらない寿命を全うすることが出来るようになりました。そのため早期発見、早期治療開始が重要となります。

月経調整

旅行、試験、大事な仕事などの日程が生理の予定日と重なってしまうことは日頃から案外多いものです。そんな時にはピル(ホルモン剤)の内服により、生理を移動することが可能です。
移動の仕方には生理を早める方法と遅らせる方法の2種類があります。

生理を早める場合

生理が開始してから3-7日に低用量もしくは中用量の内服を開始し10-14日間継続します。内服をやめると数日で生理がきます。この方法は予定のある日に内服をしてなくていいことがメリットですが、内服をやめても数日で生理が来ないなど、思うように生理をずらすことができない場合もあります。

生理を遅らせる場合

次回生理の予定日の5-7日前から、生理が来て欲しくない日まで中用量ピルを内服します。もしくはずらしたい月経の一つ前の月経が開始してから5日以内に低用量ピルを内服し、月経が来て欲しくない日まで継続します。いずれも内服をやめると数日で生理がきます。この方法は生理を早める方法より成功率が高いですが、内服中に不正出血を起こすことがあります。また、内服開始する時点で妊娠していないことが前提であり、生理を3週間以上遅らせることはできません。

※月経移動に100%確実な方法はありません。吐き気などの副作用のために内服困難となる場合もあります。

HPVワクチン

HPVワクチンとは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染による子宮頸がんや一部の外陰がん及び尖圭コンジローマ(性器にできる良性のイボ)の発症を予防するワクチンです。現在、日本で認可されているHPVワクチンはHPVのうち2種類の型を予防する2価ワクチン『サーバリックス』と4価ワクチン『ガーダシル』に加え、2021年2月から9価ワクチン『シルガード9』の接種も可能となりました。
当院での取り扱いは『ガーダシル』と『シルガード9』の2種類で、12歳になる年度初日から16歳になる年度末日までは定期接種(無料)の対象となっています。
(標準:初回-2か月後-初回から6か月後)

ガーダシル

ガーダシルは、子宮頸がんから最も多く検出されるHPV16・18型と、尖圭コンジローマ等の原因であるHPV6・11型の合計4つの型を予防する4価ワクチンで、このワクチンによる日本での子宮頸がんの予防効果は約65%と言われています。
9歳以上であれば接種が可能ですが、12歳になる年度初日から16歳になる年度末日までは定期接種(無料)の対象となっています。対象者以外の方の接種費用は1回15,000円+診察料となります。

シルガード9

シルガード9はガーダシルの4価にHPV31・33・45・52・58型を加えた9価ワクチンで海外ではガーダシル9と呼ばれています。このワクチンは子宮頸がんの原因となるHPV型の88.3%をカバーします。9歳以上で接種できます。12歳になる年度初日から16歳になる年度末日までは定期接種(無料)の対象となっています。対象外の方の接種費用は初回33,000円(税込)+診察料、2回目と3回目は29,700円(税込)+診察料となります。

外来処置・日帰り手術

子宮頸部円錐切除術

当院では原則日帰り手術で行っています。レーザーメスを使用する方法や普通のメスで切って縫う方法等もありますが、当院では高周波凝固装置を使用した方法で行っています(これは当院先代院長が考案した方法で、現在では大学病院等でも使用されている方法です)。

適応 高度異型上皮・一部の中等度異型上皮・上皮内癌
麻酔 静脈麻酔(点滴して眠るお薬を注射して麻酔します)

方法

図のように三角形のデバイスの底辺の部分に通電して熱を発生させ、切開と同時に止血を行いながら切除を行います。切除後に止血を行い、終了します。施行時間は通常10分程度です。術後は一定時間安静にしていただき、麻酔が覚めた段階でご帰宅が可能です(手術経過などで1泊入院をお勧めすることもあります)。その後は週1回の定期通院(4~5回)となります。また、出血の際には随時診させていただきます。傷が治って細胞診異常が出なければ、その後は3か月に一回程度の受診を約1年間お願いしています。

注意点

  1. 出血について
    切除面は縫合を行っていません。電気凝固で止血を行っています。このため、数日~2週間程度おりもにの血が混ざります。また組織修復が進行してかさぶたが外れると、再度出血する場合があります。月経を超えるような出血があった場合には止血する必要がありますので、夜間でも連絡をお願いしています。

  2. 子宮頸部狭窄について
    手術後、子宮頸部が狭窄して月経がうまく子宮外に出なくなり、月経困難症が出現する場合があります。特に分娩後早期に手術を行った場合に多く認められます。再拡張を行う必要があります。

  3. 再切除について
    手術後の病理検査によって、病変をしっかり取り除けているか調べます。切除周辺に対して凝固を行い、止血と共に断端の残存する可能性を考えて蒸散を追加しています。しかし、術後にも病変が遺残する場合は再度の切除や蒸散を行うケースが、さらに病理検査で術前にはないと考えられた浸潤癌病変が発見された場合に子宮全摘術をお勧めするケースがあります。

子宮鏡検査・子宮鏡下ポリープ切除術

当院では外来処置として子宮鏡検査を行っています。

どんな場合に行う検査?

【不妊症・不育症の原因を調べる検査】
最近、子宮内の慢性炎症(CE慢性子宮内膜炎)のためになかなか赤ちゃんが出来ない場合があることが報告されています。感染が起こると子宮内膜に萎縮像や小さなポリープのような隆起など特徴的なサインが認められることが有り、組織診と共に診断を行います。検査が陽性の場合は抗生物質を服用していただき改善をはかります。
【子宮内膜ポリープに対する検査および切除】
不正出血時や健診の際の超音波検査で、子宮内にポリープが認められることがあります。子宮内のポリープは月経後に消失するような場合もありますが、子宮体癌や肉腫の場合が有り、切除を行う事があります。多くの場合、麻酔をして子宮内膜搔爬術を行いますが、この際に子宮鏡で観察すると切除が不十分で残存する場合が有ります。当院では遺残がないように、前後で子宮鏡を使って観察し手術の正確さを確保しています。

方法

朝に来院していただき子宮口開大のためにラミセルというスポンジのような器具を子宮口に入れます。その後、子宮口を通して子宮鏡を挿入し、子宮内の観察を行います。疼痛時には子宮の入り口に局所麻酔剤を入れたり、静脈麻酔で眠っていただいて施行します。

バルトリン腺膿瘍開窓術
子宮卵管造影

不妊症の検査の1つで、精子や受精卵の通り道である卵管が閉塞していないことを確認する目的で行います。麻酔を使用しないので日帰りで行うことができ、その日のうちに結果が分かります。
 方法としては、子宮の入り口に細いチューブを挿入し、子宮の中に造影剤という液体を満たします。卵管が通過していれば造影剤が卵管を通じてお腹の中に漏れ出る過程をレントゲンで確認できます。もし卵管の閉塞が見つかった場合には、卵管を開通させるための治療も行っています。
副作用:生理痛のような痛み、造影剤に対するアレルギー反応、子宮内感染症など
※検査後に発熱や強い腹痛を認めた場合にはすぐにご連絡ください。

コンジローム切除術

尖形コンジロームとはヒトパピローマウイスルというウイルスに感染することで陰部にできてきしまう、鶏のトサカのような腫瘤です。一定期間外用薬を塗ることで消えることもありますが、数が多かったりサイズが大きすぎると麻酔下での切除が必要となります。

経口中絶薬

2023年4月28日厚生労働省は世界標準の「経口中絶薬」の製造・販売を承認しました。
当院でも経口中絶薬での中絶が可能になり、これまで外科的な手法に限られていた人工妊娠中絶でしたが、新たな選択肢が加わりました。
経口中絶薬は身体的・社会的事情から、やむなく人工中絶をせざるを得なくなった方が従来のような外科的手術ではなく、お薬で中絶する方法で、体に負担が少ないと考えられています。
双方、メリット・デメリットがあるので詳しくは医師と相談の上、患者さん自身が選択可能です。
但し、経口中絶薬は妊娠9週までの方が適応となります。

【経口中絶薬(メフィーゴパック)】

掻爬術(D&C) 吸引法(D&E) 経口中絶薬
妊娠週数 12週未満 12週未満 9週0日まで
治療開始後からの出血 少ない やや多い やや多い
子宮への負担 少ない より少ない 最も少ない
メリット ・腹痛・出血が少ない
・麻酔下で治療が完了
・時間が読める
麻酔・手術リスクが減る
デメリット ・麻酔・手術が必要
・処置後の妊娠への影響
・麻酔・手術が必要 ・手術が必要な場合がある
・時間がかかる
・出血が多いことがある
・現在は院内待機が必要

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人工妊娠中絶

予期せず望まない妊娠をしてしまった場合には、人工妊娠中絶という選択肢があります。
妊娠週数によって処置にかかる期間、費用が大きく異なりますのでご注意ください。

妊娠12週未満の場合

前日に子宮の入り口を広げる処置が必要です。手術中には静脈麻酔を使用し、日帰りが可能です。手術による子宮内膜や筋層の負担をできるだけ減らすために当院では吸引法を選択しています。下記の表のように、吸引法は掻爬や併用法と比較しても合併症の少ない手法です。術後は、翌日、1週間後、2週間後に受診していただきます。

【人工妊娠中絶の合併症】

発生総数 掻爬 吸引 併用 薬物
総数 355 588.6 112.4 294.8 696.9
子宮穿孔 18.8 36.4 4.9 12.7 0
頸管裂傷 2 3 0 2.1 0
大出血 16.9 18.2 9.8 19.1 0
重症感染症 3 3 0 4.2 0
血栓・塞栓症 0 0 0 0 0
アナフィラキシー 11.9 15.2 0 14.8 0
遺残 292.5 503.7 97.8 226.9 696.9
その他 9.9 9.1 0 14.8 0

平成25年度厚生労働省班研究’人工妊娠中絶の地位格差に関する研究’より

妊娠12週以降、22週未満の場合

初期の中絶手術に比べて、しっかりと子宮の入り口を広げる必要があり、処置に1日必要となります。その後子宮収縮剤を使用して陣痛を起こさせ、子宮から赤ちゃんが出てくるのを待ちます。前処置を含め、最低でも2泊3日の入院が必要となりますが、人によってはもっと時間がかかる場合もあります。退院後は、1週間後、2週間後に受診していただきます。
※人工妊娠中絶に関する費用には保険がききません。全て自費になります。
※また当院では中絶手術直後からのピルの内服や、手術時のIUS(子宮内システム)の挿入などの避妊法を推奨しています。

婦人科手術(入院処置)

当院の手術における治療方針は、”妊娠を意識した手術”です。実施されている手術は腹腔鏡下手術や子宮鏡下手術が主で、術後の癒着や損傷を最小限度に抑えることを心がけています。さらに、出来るだけ妊娠する力を温存するために、卵巣に対する損傷を出来るだけ少なくしたり、子宮筋腫に対しては摘出後の子宮筋の縫合不全を少なくするために何層かに分けて縫合を行っています。

(一部、妊娠とは関連のない手術もあります(ex.性器脱根治術))

卵巣嚢腫

卵巣嚢腫には色々な種類があり、内容が水のようなタイプから、粘液、血液、油など多くの種類があります。特に妊孕性に影響を与える可能性があるものとして、子宮内膜性嚢胞(チョコレート嚢胞)が挙げられます。その中でも子宮内膜症は、腹腔内に慢性的な炎症状態を起こして癒着を起こしたり卵巣自体を圧迫するほか、活性化された生体物質(サイトカイン)の影響で、卵子の授精や胚への進展を阻害することが知られています。

現在、不妊治療のために腹腔鏡下手術で子宮内膜症を治す手術に関しては、施術することで一般不妊治療による自然妊娠率を上昇させることが報告されています。しかし卵巣にあるチョコレート嚢胞を取ることで元々卵巣にある卵子の元(原始卵胞)の数を少なくしてしまう懸念が報告されており、妊娠ということを考えた際には、ART(体外受精などの生殖補助医療)を使った方が有効な場合もあります。

手術に関しては年齢、妊娠の希望、病気の程度、治療歴などを考慮して決定する必要があります。現在はまだ挙児希望が無い場合でも繰り返す場合には、卵子の凍結保存などライフスタイルを考えた治療選択が必要です。

また、術後に関しては、すぐに妊娠を希望されない際にも子宮内膜症の再発予防は重要で、ホルモン療法(黄体ホルモン療法、低用量ピルの連続投与法など)をお勧めしています。

腹腔鏡下卵巣嚢腫摘除術

腹腔鏡下に、卵巣に出来たのう腫部分だけを取る手術

腹腔鏡下附属器摘除術

腹腔鏡下に、腫れてしまった卵巣および卵管を取る手術

麻酔 全身麻酔
入院日数 6日程度
子宮筋腫

子宮筋腫は子宮に出来る良性腫瘍で、発生部位で症状や治療適応が変わってきます。

  1. 漿膜下筋腫

    主に子宮の外に向かって発育しているタイプで圧迫症状(膀胱など)がでることもありますが、あまり症状がでないタイプ。

  2. 粘膜下筋腫

    小さくても過多月経や不正出血の原因となります。特に妊孕性の低下につながることがあり、治療が必要になります。子宮鏡下子宮筋腫核出術の適応になります。

  3. 筋層内筋腫

    大きくなると子宮の変形を起こし、過多月経・月経困難症の原因になります。大きいものでは不妊原因となりますが、流産や妊娠中の疼痛の原因になることがあります。腹腔鏡下や開腹の子宮筋腫核出術が適応になります。

当院では、妊孕性の温存を視野に入れた子宮筋腫核出手術を行っております。

挙児希望が無い場合で症状が強い場合、治療法として子宮全摘術があります。腹腔鏡下の子宮全摘術に関しては合併症などを考えて他病院へのご紹介を行っています。

腹腔鏡下子宮筋腫核出術

腹腔鏡を挿入して下腹部に3センチ程度の切開を入れ、ここから筋腫を核出する方法です。大きなものや多発しているものでは困難な場合もあります。その際は開腹になります。

麻酔 全身麻酔+硬膜外麻酔
入院期間 6日程度

子宮鏡下子宮筋腫核出術

子宮内膜への突出度合いが筋腫核の70%程度を越えている場合におこないます。お腹には傷を付けず、膣から挿入した子宮鏡(レゼクトスコープ)を用いて筋腫を少しづつ切って取り出します。あまり大きなものや突出度が低い場合には、摘出を数回に分けて行う必要があるケースや適応にならないケースもあります。

麻酔 腰椎麻酔(または腰椎硬膜外麻酔)+静脈麻酔
入院期間 2日程度
性器脱

性器脱根治術(膣閉鎖術)

リングペッサリー法やリハビリテーションを行ったがコントロールがうまくいかない場合に行う手術です。子宮を膣式に全摘し、その後膣壁の上側と下側を縫い合わせて弱くなった性器を補強し脱出症状を改善する方法です

麻酔 全身麻酔(+腰椎硬膜外麻酔)
入院期間 6日程度